保育所等訪問支援ガイドラインとは?訪問支援員の要件・支援の流れ・記録をわかりやすく解説
公開 2026-08-18
- 執筆
- フクシルベ編集部
- 出典確認
まず全体像
1回の訪問支援の流れ
- 訪問先施設と日程調整する(身分証明書を携帯する)
- こどもの様子を丁寧に行動観察する
- 生活の流れの中でこども本人を支援する
- 訪問先施設の職員に関わり方を助言する
- なるべくその日のうちにカンファレンスで共有する
- 保護者へ支援内容を報告する
- 支援の内容・こどもの様子・助言を記録する

保育所等訪問支援を始める事業者向けの記事です。こども家庭庁の「保育所等訪問支援ガイドライン」(令和6年7月)の内容を整理します。この記事で整理するのは次の4つです。
- 訪問支援員の要件
- 支援の流れ
- 関係機関との連携
- 記録
保育所等訪問支援ガイドラインとは
国が定めたガイドラインです。障害のあるこどもやその家族に質の高い支援を届けるため、事業所の支援内容や運営に関する事項を示しています。各事業所はこの基本理念や支援内容をもとに、こども本人・家族・地域の実情に応じて創意工夫を図ります。
保育所等訪問支援は、こどもが集団生活を営む施設を訪問する事業です。訪問先で、集団生活への適応のために専門的な支援を行います。訪問先の例は次のとおりです。
- 保育所・幼稚園・認定こども園
- 小学校・中学校・高等学校
- 特別支援学校
- 乳児院
- 児童養護施設
- 放課後児童クラブ
大事な考え方があります。支援の対象となるこどもを集団生活に合わせるのではありません。こどもの特性等に応じて、集団生活の環境の調整や、活動の流れの変更・工夫を進めていきます。
訪問支援員の要件は
事業所には、管理者・児童発達支援管理責任者・訪問支援員の配置が必須です。
訪問支援員は、訪問先に出向いて単独で支援を実施します。そのため、要件は次のように定められています。
- 障害児支援に関する知識と相当の経験を持つこと
- 次のいずれかの職種であること: 児童指導員、保育士、理学療法士、作業療法士、心理担当職員 等
- 集団生活への適応のため、専門的な支援の技術を持つこと
また、障害の特性やこどもの状態に応じて、職種の異なる複数人のチームで訪問することも考えられます。
支援内容は3つ
- こども本人に対する支援: 集団生活への適応や日常生活動作の支援など
- 訪問先施設の職員に対する支援: こどもへの理解や、特性に応じた支援方法・関わり方の助言など
- 家族に対する支援: こどもへの理解や、特性に応じた関わり方の助言など
3つは別々のものではありません。職員への支援や家族への支援を通して、総合的に育ちの環境を整えていくことが極めて重要です。
訪問頻度と訪問時間の目安
頻度
- 市町村では、2週間に1回程度(ひと月に2回程度)の支給量を基本と想定して支給決定されています
- ただし機械的に行うのではなく、こどもの状態に応じて柔軟に対応します
- 関係構築の初期や、緊急性が高い場合は頻度を高くします
- 受入れ状況が整ってきたら、間隔を徐々に空けていくことが想定されています
時間
- 支援の提供時間は、保育所等訪問支援計画に定めた上で30分以上にします
- こども本人や訪問先施設の職員に対する支援は、1時間程度が基本と考えられています
- カンファレンス等を通じた訪問先施設への報告は、30分程度が基本と考えられています
1回の訪問の流れ
ガイドラインでは、支援の実施を次の流れで示しています。
- 訪問先施設との日程調整: 訪問先の都合に合わせて日程を決めます。支援の優先度が高い場面や、職員が対応の難しさを感じている時間帯に訪問できるよう調整します。訪問時は身分証明書を携帯します
- 行動観察: はじめはこどもの様子を丁寧に観察します。何が課題か、どのような支援が適切かを検討します
- こども本人に対する支援: 訪問先の生活の流れの中で支援します。保育・教育活動の妨げにならないよう配慮します
- 訪問先施設の職員に対する支援: 指導という姿勢では行いません。訪問支援員がいない場面での関わり方を、訪問先が自律的に考えられるように支援します
- カンファレンス: なるべくその日のうちに行います。こどものニーズや今後の支援の進め方を共有します。オンラインの活用も可能です
- 保護者への報告: 訪問先でのこどもの様子や職員の関わり方を含め、提供した支援の内容を伝えます。方法は保護者と相談しながら柔軟に決めます(同席、面談、電話、メールやチャット、記録の活用など)
- 訪問支援の記録: 提供した支援の内容、こどもの様子、訪問先職員への助言の内容などを具体的に記録します
計画の作成とモニタリング
まず、障害児相談支援事業所が障害児支援利用計画を作成します。児童発達支援管理責任者は、その総合的な援助方針をもとに保育所等訪問支援計画を作成します。作成した計画は、障害児相談支援事業所へ交付します。
保育所等訪問支援計画は、概ね6か月に1回以上モニタリングを行います。こどもの状態や家庭状況等に変化があった場合は、6か月を待たずに行う必要があります。
相談支援事業所との関係は、計画を受け取るだけの上下の関係ではありません。訪問支援事業所からも積極的に働きかける、双方向のやり取りを行う関係です。
関係機関との連携
日頃から、次のような関係機関と連携を図ることが必要です。
- 訪問先となる保育所や学校
- 市町村の障害児支援担当部局
- 教育委員会
- こども家庭センター
- 障害児相談支援事業所
- 児童相談所 など
連携のポイントは次のとおりです。
- 訪問先施設: 計画作成時には、訪問先の職員を招集して個別支援会議を開催します。信頼関係を築くことが何よりも重要です
- 児童発達支援センター: 地域のインクルージョン推進の中核です。スーパーバイズやコンサルテーションの活用が期待されています
- 児童発達支援・放課後等デイサービス事業所: 併用しているこどもについて情報共有を図ります。保護者の同意を得た上で、支援内容や個別支援計画の内容等を共有します
- 虐待が疑われる場合: 速やかに訪問先および事業所内で情報共有を行います。要保護児童対策地域協議会等を活用しながら、児童相談所等と連携して対応します
記録の書き方と扱い
- 職員は、その日行った支援の手順、内容、こどもの反応や気づきを必ず記録します
- 日々の支援が支援目標や計画に沿っているかを、記録をもとに検証します
- 検証の結果を、支援の改善やスキルアップにつなげます
- 保護者の承諾を得た上で、こどもの写真を撮って記録することも考えられます
- 作成した記録は、必要に応じて訪問先施設や保護者に共有することも考えられます
秘密保持のルールもあります。関係機関にこどもや家族の情報を提供する際は、あらかじめ文書により保護者等の同意を必ず得ます。
管理者の視点
ガイドラインは、設置者・管理者の責務を独立の項目で定めています。運営規程には、次の事項などを必ず定めます。
- 事業の目的・運営方針
- 従業者の職種・職員数・職務内容
- 緊急時等の対応方法
- 虐待防止のための措置
自己評価には特徴があります。従業者評価・保護者評価に加えて、「訪問先施設評価」も実施します。
また、保育所等訪問支援の目的は、訪問先での加配的な役割や人手不足を補うことではありません。そのため、計画の作成時点から、目標達成の目安(終了時期の目安)を保護者や訪問先と共有しておくことが重要です。
公式資料
記事を読んだあとに
実務資料・公式資料を確認する
フクシルベの実務資料は日々の整理用です。様式・要件・提出先は更新されることがあるため、実際の手続きや請求の前に配布元の最新版を確認してください。
この記事に誤りがありませんか
公式資料は予告なく変わります。内容が古い・事実と違う・リンクが開けないなどにお気づきの場合は、編集部までお知らせください。
