安全・支援の質
放課後等デイサービスのBCPと感染症対策|未策定減算と研修・訓練の回数(横浜市)
公開 2026-08-07|更新 2026-08-16
- 執筆
- フクシルベ編集部
- 実務確認
- fukube yuta
- 最終確認
まず全体像
実務フロー
- 公式資料と対象条件を確認する
- 対応後に提出物と判断根拠を記録する

業務継続計画(BCP)は、作って終わりでは運営基準を満たしません。横浜市の資料は、周知、研修、訓練、見直しまでを定期的に行うよう求めています。感染症対策も、BCPとは別に、委員会、指針、研修、訓練が必要です。この2つはセットで運用します。
先に結論
放課後等デイサービスが対応することは、大きく2つです。根拠は横浜市の令和4年度集団指導追加資料(感染症対策及びBCPについて)(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ)です。
- 業務継続に向けた取組の強化(基準条例第39条の2)。BCPを作る。職員に周知し、研修と訓練を定期的に行い、定期的に見直す
- 感染症対策等の強化(基準条例第42条第2項)。感染症対策委員会を開き、指針を整え、研修と訓練を行う
この資料には「経過措置:令和6年3月末まで」とあります。令和4年度時点の記載です。経過措置が終わったあとの扱いは、この資料に書かれていません。ただし、その後の国の報酬改定で減算が新設されています。次の節で整理します。
未策定だと基本報酬が減算される
令和6年度の障害福祉サービス等報酬改定で、業務継続計画未策定減算が新設されました。国の改定事項の概要によると、対象は業務継続計画が未策定の場合です。感染症と非常災害のどちらか一方でも未策定なら、基本報酬を減算します。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 対象 | 全サービス(児者共通) |
| 減算率 | 放課後等デイサービスと児童発達支援は所定単位数の1% |
| 減算率(入所) | 障害児入所施設は所定単位数の3% |
| 要件 | 業務継続計画を策定し、計画に従い必要な措置を講ずること |
| 期間 | 事実が生じた月の翌月から、解消された月まで |
| 対象者 | その事業所の利用者全員 |
経過措置もありました。令和7年3月31日までの間に限り、2つを行っていれば減算を適用しない、という扱いです。1つは感染症の予防及びまん延防止のための指針の整備、もう1つは非常災害に関する具体的計画の策定です。この経過措置の期間は令和7年3月31日で終わっています。
ここで見落としやすいのが、BCPは1本ではないという点です。横浜市の令和6年度集団指導資料も、業務継続計画は「感染症」と「非常災害」の両方を作成する必要があると書いています。片方だけでは要件を満たしません。
業務継続計画(BCP)の運営基準
資料が定める運営基準は、次の2点です。
- 職員にBCPの内容を周知し、必要な研修と訓練を定期的に行わなければならない
- BCPを定期的に見直し、必要に応じて変更する
見直しの頻度に、回数の定めはありません。「定期的に」とだけ書かれています。事業所ごとに実施の時期を決めて運用します。
BCPに盛り込む項目
資料はBCPを2本立てで整理しています。感染症のBCPと、災害のBCPです。
感染症のBCP
- 平時からの備え(体制を作って整える、感染症を防ぐ取組の実施、備蓄品の確保など)
- 初動対応
- 感染拡大防止体制の確立(保健所との連携、濃厚接触者への対応、関係者との情報共有など)
災害のBCP
- 平常時の対応(建物・設備の安全対策、電気・水道などのライフラインが止まったときの対策、必要品の備蓄など)
- 緊急時の対応(業務継続計画を発動する基準、対応体制など)
- 他の施設や地域との連携
感染症対策等の運営基準(BCPとは別枠)
BCPとは別に、感染症対策の強化として次の3つが必要です。
- 感染症と食中毒の予防やまん延の防止を検討する委員会を定期的に開き、結果を職員に周知徹底する
- 感染症と食中毒の予防やまん延の防止のための指針を整える
- 感染症と食中毒の予防やまん延の防止のための研修と訓練を定期的に行う
感染症対策委員会は、幅広い職種で作ります。管理者、看護職員、児童指導員、栄養士などです。メンバーの責務と役割分担をはっきりさせます。専任の感染対策担当者(看護師が望ましい)を決めておくことも挙げられています。開催の頻度は「利用者の状況に応じ、おおむね3か月に1回以上」です。流行期は随時開きます。
指針に書く場面は2つです。1つは平常時の対策で、衛生管理と、日常の支援での感染対策です。もう1つは発生したときの対応で、次のことを書きます。
- 発生状況の把握
- 感染拡大の防止
- 医療機関・保健所・事業所関係課などとの連携と行政への報告
- 医療処置
- 事業所内と関係機関への連絡体制
研修・訓練の回数はBCPと感染症対策で異なる
資料を読むときに見落としやすいのが、ここです。BCPの研修・訓練と、感染症対策の研修・訓練とで、求められる回数が違います。
| 項目 | 内容 | 頻度(資料記載) |
|---|---|---|
| 感染症対策委員会 | 委員会の開催、結果の周知徹底 | おおむね3か月に1回以上(流行時期は随時) |
| 感染症対策の研修 | 感染対策の基礎知識、指針に基づく衛生管理の徹底 | 年2回以上、新規採用時は必ず実施 |
| 感染症対策の訓練 | 発生時の役割分担確認、感染対策をした上での支援演習(机上+実地) | 年2回以上 |
| BCPの研修 | 業務継続計画の内容共有、平常時・緊急時対応の理解 | 年1回以上、新規採用時は別途実施が望ましい |
| BCPの訓練 | 役割分担の確認、感染症・災害発生時の支援演習(机上+実地) | 年1回以上 |
| BCPの見直し | 定期的な見直しと必要に応じた変更 | 定期的(資料に具体的な回数の定めなし) |
記録の扱いにも差があります。BCPの研修は「研修の実施内容について記録すること」と書かれています。感染症対策の研修には、この資料に記録義務の記載がありません。記録がいるかどうかは、横浜市(指定権者)に確認してください。
訓練は机上と実地を組み合わせる
感染症対策とBCPのどちらの訓練も、資料はこう定めています。「訓練は机上の訓練と実地の訓練を適切に組み合わせながら実施すること」。感染症が起きたときにすぐ動けるようにするためです。指針と研修の内容にそって、役割分担の確認や、感染対策をした上での支援の演習などを行います。
年間の運用に落とすと、こうなります。机上訓練は、指針の読み合わせと役割分担の確認です。実地訓練は、実際に動いてみる演習です。この2つを、年間計画のどこかに1回ずつ以上入れます。これで資料の記載に沿った形になります。
年間計画の置き方の例
回数の違いを、1年の並びに置き換えると次のようになります。あくまで一例で、時期の決め方は事業所ごとです。
| 時期 | 置くもの |
|---|---|
| 4月 | 感染症対策委員会。年間計画と役割分担の確認 |
| 6月 | 感染症対策の研修1回目と、机上の訓練 |
| 7月 | 感染症対策委員会 |
| 9月 | BCPの研修1回目。感染症と非常災害の両方を扱う |
| 10月 | 感染症対策委員会。BCPの実地訓練 |
| 12月 | 感染症対策の研修2回目と、実地の訓練 |
| 1月 | 感染症対策委員会 |
| 3月 | BCPの見直し。翌年度の計画へ反映 |
新規採用があった月には、感染症対策の研修を別に入れます。資料は、新規採用時に必ず実施すると書いています。
策定に迷ったら:横浜市のBCP策定支援研修
横浜市は「業務継続計画(BCP)策定支援研修」を行っています。委託先は公益社団法人かながわ福祉サービス振興会です。対象は障害者支援施設・障害福祉サービス・障害児通所等です。BCP策定支援研修の開催について(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ)によると、研修はサービス種別ごとにオンラインで開かれます。種別は入所・入居系、通所系、訪問系、その他に分かれ、通所系向けの回もあります。使う資料は、厚生労働省が公開している業務継続ガイドライン、BCPひな形、様式ツール集などです。
注意点があります。この案内に載っている開催日時(令和4年9月〜11月)は、すでに終わった過去の回です。今後も同じ研修があるとは限りません。いま開催があるか、申込方法はどうかを直接確認してください。窓口は、かながわ福祉サービス振興会か、横浜市健康福祉局障害施策推進課です。BCPを作り終えていても、内容や運用に不安があるときの相談先として押さえておくとよい情報です。
管理者の視点
管理者がここを見るのは、BCPが「作ってあるか」ではなく「計画に従い必要な措置を講じているか」で判定されるからです。減算は、事実が生じた月の翌月から、解消された月まで続きます。利用者全員の基本報酬にかかるため、1か月分でも金額はまとまります。
現場で起きやすい詰まりは、感染症のBCPだけを作って、非常災害のBCPが手つかずになることです。感染症対策の指針や委員会は動いているので、書類の見た目は整います。それでも、業務継続計画としては片方だけの状態です。
確かめる順番は3つです。まず感染症と非常災害の両方のBCPがあるか。次に、周知、研修、訓練、見直しの記録が残っているか。最後に、回数がBCPと感染症対策で取り違えていないか。3つ目は、年間計画を1枚にして並べると見つけやすくなります。
資料が古い点について
この記事の根拠にした横浜市の2つの資料は、どちらも令和4年度に出されたものです。その時点の情報が多く入っています。基準条例の改正に伴う経過措置(令和6年3月末まで)や、研修の開催日時(令和4年9月〜11月)などです。基準条例そのものが改正されている可能性もあります。いまの正確な要件は、横浜市(指定権者)に必ず確認してください。
減算の内容は、国の令和6年度報酬改定の資料に基づく整理です。減算の適用や届出の扱いは、指定権者の運用によって確認の仕方が変わります。判断に迷うときは、横浜市健康福祉局障害施策推進課へ確認してください。
この記事の対象
放課後等デイサービスの管理者と児発管(児童発達支援管理責任者)を想定しています。2026年8月7日時点の資料で確認しています。
記事を読んだあとに
実務資料・公式資料を確認する
フクシルベの実務資料は日々の整理用です。様式・要件・提出先は更新されることがあるため、実際の手続きや請求の前に配布元の最新版を確認してください。
この記事に誤りがありませんか
公式資料は予告なく変わります。内容が古い・事実と違う・リンクが開けないなどにお気づきの場合は、編集部までお知らせください。
