安全・支援の質
放デイの虐待防止|横浜市の通知・緊急点検の項目・研修の受け方
公開 2026-08-07|更新 2026-08-13
- 執筆
- フクシルベ編集部
- 実務確認
- fukube yuta
- 最終確認
まず全体像
実務フロー
- 公式資料と対象条件を確認する
- 対応後に提出物と判断根拠を記録する

放課後等デイサービスの虐待防止でやることは、次の5点です。横浜市の3つの資料(通知・点検・研修)を並べると、こう整理できます。
- ① 送迎を複数体制にして記録を残す
- ② 業務中は個人のスマートフォンを持たない
- ③ 虐待防止の委員会を年1回は開く
- ④ 虐待を発見したときの通報先を職員全員が知っている
- ⑤ 管理者・児発管は横浜市の虐待防止研修を受講する
以下、それぞれの根拠と手順を整理します。
まず確認したいこと
- 送迎は原則2名以上の体制にし、運転手・添乗員の氏名や送迎ルートを記録しているか
- 業務中に個人のスマートフォンを持たせていないか(事業所用の端末で代われているか)
- 虐待防止の対策を考える委員会を、年1回は定期的に開いているか
- 虐待を見つけたときの通報先(横浜市の窓口、警察等)を職員が知っているか
- 管理者・サービス管理責任者等が横浜市の虐待防止研修を受ける予定になっているか
通知のきっかけになった事案
横浜市こども青少年局障害児福祉保健課は、令和4年7月28日付で通知を出しています(令和4年7月28日付通知(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ))。きっかけは市内の事案です。放課後等デイサービス事業所の職員が、強制わいせつの疑いで逮捕されました。送迎中の車内で女子利用児童の下半身を触り、撮影したとされる事案です。通知が求めているのは、送迎時の安全確保と、個人の携帯電話の取扱いの見直しです。どちらも横浜市版放課後等デイサービスガイドラインが定めています。
送迎時に求められる体制
通知が挙げているのは、次の4点です。
| 取組 | 内容 |
|---|---|
| 留守番の設置 | 送迎時は事業所内に最低1名を配置する |
| 送迎ルート | 子どもの心身に無理のない範囲とし、あまりに広範囲すぎないルートにする |
| 送迎体制 | 2名以上の複数体制とする(介助等の必要がない自立した子どもでも同様) |
| 記録 | 運転手・添乗員の氏名、利用者の氏名、送迎ルート、その他特記事項を記録する |
添乗員を置く理由として、通知は次の3点を挙げています。
- 職員と児童が1対1になる場面をつくらない。車内に別の目を置き、虐待のリスクを防ぐ
- 走行中の児童の安全を守り、児童どうしのトラブルや他害を防ぐ
- 交通事故など、緊急時に対応する
車内で子どもと1対1になること自体が、虐待を疑われる状況になりかねません。それを意識して、複数対応を心がけてください。
個人スマートフォンの取り扱い
通知は、業務中に個人の携帯電話を持つことを禁止するよう求めています。背景には、個人の携帯電話のカメラでわいせつ画像を撮影した事例があります。対応として挙げられているのは、事業所用の端末をそろえることです。カメラ機能のない携帯電話や電子端末を用意し、それを使う体制にします。
虐待防止のために事業所が講じる措置
通知の参考部分は、事業者の責務を挙げています。障害者虐待防止法と横浜市の基準条例が定めているものです。障害児通所支援事業所も、法律の上では「障害者福祉施設」に含まれます。
- 人権の擁護、虐待防止に関する研修を、全従業員に対して定期的に実施すること
- 運営規程に「虐待防止のための措置に関する事項」を定めること
- 虐待の防止のための対策を検討する委員会を年1回、定期的に開催すること
- 利用者及び家族等からの苦情の処理の体制を整備すること
研修を何回やるかなど、細かい運営方法までは、この通知に書かれていません。詳しいことは横浜市版放課後等デイサービスガイドラインや、厚生労働省の手引きで確かめてください。
虐待を発見したときの通報先
障害者福祉施設の従業者等から虐待を受けたと思われる障害者を見つけたら、市町村へ通報する義務があります。障害児通所支援事業所の利用者も含みます。通報したことを理由に、解雇その他の不利益な取扱いを受けることはありません。
| 通報先 | 電話番号 | 受付 |
|---|---|---|
| 横浜市こども青少年局障害児福祉保健課(事業所所管) | 045-671-4274 | - |
| 横浜市障害者虐待防止センター(通報・届出窓口) | 045-662-0355 | 24時間受付 |
| よこはま子ども虐待ホットライン(保護者による児童虐待の場合) | 0120-805-240 | 24時間受付 |
通報した後は、原則としてこども青少年局が事実確認等を行います。緊急性が高いと判断されると、コアメンバー会議を経て対応方針が決まります。
横浜市が実施した緊急点検の項目(参考)
少し古い資料ですが、実際にどんな確認や記録が要るのかが具体的に分かります。平成31年2月、千葉県野田市の事案を受けて、横浜市が障害児通所支援事業所に緊急点検を求めました。資料は緊急点検の対応について(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ)です。点検は当時1回限りでした。それでも、児童の所在を確かめるという観点で、普段からどんな情報を持っておくとよいかの参考になります。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 点検対象事業 | 児童発達支援、医療型児童発達支援、居宅訪問型児童発達支援(共生型事業所、基準該当事業所を含む) |
| 点検対象児童 | 対象期間中、一度もサービスを利用していない児童(保育所・幼稚園・学校等に併行通園していない児童に限る) |
| 点検方法 | 事業所職員による自宅等への訪問・面会(原則。特段の事情がある場合は市町村職員等が実施) |
| 報告事項1 | 面会できたかどうか |
| 報告事項2 | 面会できなかった場合、市町村・児童相談所・警察への情報共有の有無とその理由 |
| 報告事項3 | 面会できた場合の方法、虐待の恐れがある場合の情報共有の有無 |
児童が複数の事業所を利用している場合の注意点もありました。上限額管理を行う事業所が確認し、二重に数えないようにする、というものです。「最近サービスを利用していない児童」を日頃から把握できる体制にしておきましょう。同じような点検の依頼が来ても、対応しやすくなります。
横浜市の虐待防止研修(令和8年度)
横浜市健康福祉局障害施策推進課が、障害者福祉施設等で働く人へ虐待防止研修を行います。受講は無料です(令和8年度虐待防止研修の実施について(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ))。対象は「横浜市内の障害者施設等の管理者又はサービス管理責任者等」です。放課後等デイサービスとは書かれていません。ただ、前に述べたとおり、障害児通所支援事業所も障害者虐待防止法の上では障害者福祉施設に当たります。自分の事業所が対象になるかは、申し込む前に主催者へ確かめると確実です。
| 研修 | 日時 | 定員 |
|---|---|---|
| 共通研修 | 10月19日(月) 9:30〜17:25 | 100名 |
| 管理者向け研修 | 10月23日(金) 9:30〜17:10 | 50名 |
| サービス管理責任者等向け研修 | 10月28日(水) 9:30〜16:40 | 50名 |
受講の組み合わせは決まっています。管理者は「共通研修+管理者向け研修」です。サービス管理責任者等は「共通研修+サービス管理責任者等向け研修」です。内容は役割に応じたテーマで構成されています。虐待の状況と横浜市の対応。早期発見・対応の考え方。管理者の役割や委員会の機能。身体拘束・行動制限の廃止に向けた支援の質の向上。虐待防止の組織づくり。
会場は神奈川県中小企業共済会館101号室です(横浜市中区北仲通3丁目33番地)。JR根岸線・横浜市営地下鉄「関内」「桜木町」各駅から徒歩7〜8分です。申込締切は9月30日(水)。ただし定員に達し次第、受付は終了します。申込方法や様式は資料原文で早めに確かめてください。問合せ先は株式会社ツクイスタッフ教育事業部です。メールはso-info@tsukui-staff.net、電話は03-4563-0893(自動音声案内)です。
まとめ
横浜市の資料が求めているのは、特別なことではありません。送迎の複数体制と記録。個人スマホを持たない運用。通報先の周知。委員会の年1回開催。管理者・児発管の研修受講。どれも日々の運営の中で積み重ねられます。事案が起きてから慌てて確かめるのではなく、平時にチェックリストとして回しておくことをおすすめします。
放課後等デイサービス事業所の管理者・児童発達支援管理責任者を想定しています。2026年8月7日時点の資料で確かめています。
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