指定・届出
事業所を譲渡・売却するとき|指定は引き継げない。廃止届と新規指定、そして簡素化の使い方
公開 2026-08-09|更新 2026-08-16
- 執筆
- フクシルベ編集部
- 実務確認
- fukube yuta
- 最終確認
まず全体像
譲渡・売却を進めるときの実務フロー
- 法人格が変わるのか、同一人格のままかを判定する
- 廃止届の期日(1か月前)から全体の日程を逆算する
- 横浜市へ相談し、後継法人の新規指定と簡素化の可否を確認する
- 職員・利用契約・実績通算・補助金財産の扱いを整理して届出する

指定は法人についているので、事業所ごと引き継ぐことはできません。 横浜市は「事業譲渡等によって運営法人が変わる場合、"変更"の取扱いではありません」と明記しています。手順は次の2段階です。
- 既存法人が、譲渡しようとする事業所の廃止届を出す
- 後継法人が、新たに横浜市から指定を受ける
後継法人は、新しく事業所を開くときと同じ手続きを踏みます。事前説明会への参加も同様です。売買契約がまとまっていても、この順番は法人の都合で飛ばせません。
なお、有償か無償かによる取扱いの差はありません。
「法人が変わる」に当たるもの
横浜市が例として挙げているのは次のとおりです。
- 運営法人が新法人をつくり、事業所の運営を移す・譲る
- 運営法人が別の法人へ事業を譲る
- 運営法人が別の法人に合併されて消える
- 営利法人と非営利法人の間で種類が変わる
- 非営利法人の種類が変わる
例外:同一人格として扱われる場合
運営法人が営利法人で、会社法に基づく「組織変更」または「種類の変更」を行う場合は別です。法人格が同じままなので、運営法人の名称の変更として扱われます。指定を取り直す必要はありません。
- 組織変更:持分会社(合名・合資・合同会社)と株式会社の間での変更
- 種類の変更:持分会社の間での種類の変更
これ以外で法人等の種類が変わる場合は、新たに指定申請が必要です。横浜市への相談も要ります。代表者が交代するだけなら、変更届で足ります。添える書類は次のとおりです。
- 登記事項証明書
- 誓約書
- 同意書
- 役員等名簿
国は手続きを簡素化している
「新規指定」と聞くと、書類を一から揃え直す印象を受けます。しかし、令和6年6月21日の厚生労働省・こども家庭庁の事務連絡が、手続きの簡素化を示しています。規制改革実施計画を受けたものです。
対象は次のとおりです。
- 吸収合併
- 吸収分割
- 新設合併
- 新設分割
- 事業譲渡
次の扱いになるのは、前後で事業所が実質的に継続して運営されると指定権者が認める場合です。施設・事業所の職員に変更がないことなどが、その例として示されています。
| 項目 | 取扱い |
|---|---|
| 提出書類 | 旧法人が指定を受けた際の内容から変更があった部分のみの届出で足りる。法人格以外に変更がなければ登記事項証明書等の提出で差し支えない |
| サービス等利用計画 | 変更を不要とする |
| 利用契約 | 会社法に基づき旧法人の権利義務を承継する場合、再締結を不要とする |
| 報酬の実績 | 前後で通算する |
実績の通算は、見落とすと損をします。事務連絡が挙げている例は次のとおりです。
- 福祉専門職員配置等加算の勤続年数
- 過去の実績に基づく加算
- 定員超過利用減算における過去3か月の平均利用人員
- 処遇改善加算の計画書・実績報告書の一括作成
減算の判定に使う過去3か月の実績も引き継がれるという意味です(減算の一覧はこちら)。
補助金を受けて取得した財産がある場合
国庫補助を受けて手に入れた財産があるときは、別に財産処分の手続きが必要です。事務連絡によると、財産を有償で引き継ぐ場合は、国庫への納付が必要です。無償の場合は、経過年数などの条件を満たせば納付は要りません。
売却価格を詰める前に、補助金で入れた設備が対象になっていないかを確かめてください。
管理者の視点
管理者としてまず見るのは、譲渡の条件そのものではありません。指定が途切れない日程を組めるかどうかです。指定のない日の給付費は請求できず、後から返還の話になるためです。
譲渡の相談は、売買の条件がまとまってから行政へ持ち込まれることが多くあります。ただ、廃止届と新規指定には決まった手順と日程があり、法人の事情だけでは前倒しできません。条件が固まる前に相談を始めます。
詰まりやすいのは、廃止する側の日程です。休止・廃止の届出は1か月前までで、利用者の引継ぎは法律上の義務です。たとえば4月1日に後継法人へ移すなら、廃止届は2月末までに出します。後継法人の事前説明会の日程も、そこから逆算します。指定が切れる瞬間に、子どもの通う先が空くことは避けます。
「実質的に継続して運営されると認める」かどうかを判断するのは指定権者です。大きな分かれ目は、職員をそのまま引き継ぐのかです。簡素化を当てにするなら、その前提を早い段階で共有してください。
進める前のチェック
- 法人格が変わるのか、会社法上の組織変更で同じ人格のままかを確認した
- 廃止する側の廃止届の期日(1か月前)から逆算した日程になっている
- 後継法人の新規指定の手順(事前説明会を含む)を横浜市に確認した
- 職員の引継ぎ状況を整理し、簡素化・実績通算の対象になるか相談した
- サービス等利用計画・利用契約の扱いを相談支援専門員と確認した
- 補助金で取得した財産があるか、有償か無償かを確認した
- 利用者と保護者への説明、引継ぎ先の確保ができている
公式資料
- 主な変更時の提出書類一覧(横浜市・運営法人が変わる場合の取扱いを含む)(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ)
- 障害福祉サービス事業者等の吸収合併等に伴う事務の簡素化について(厚生労働省・こども家庭庁事務連絡)(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ)
- 廃止・休止・再開届出書(横浜市・児童福祉法)(出典: 障害福祉情報サービスかながわ/公益社団法人かながわ福祉サービス振興会ホームページ)
手続きと様式は変わります。個別にできるかどうかは、必ず横浜市の担当へ確かめてください。
記事を読んだあとに
実務資料・公式資料を確認する
フクシルベの実務資料は日々の整理用です。様式・要件・提出先は更新されることがあるため、実際の手続きや請求の前に配布元の最新版を確認してください。
この記事に誤りがありませんか
公式資料は予告なく変わります。内容が古い・事実と違う・リンクが開けないなどにお気づきの場合は、編集部までお知らせください。
