児発管
児発管(児童発達支援管理責任者)の兼務はどこまで?管理者・児童指導員・他事業所の3パターン
公開 2026-08-04|更新 2026-08-17
- 執筆
- フクシルベ編集部
- 実務確認
- fukube yuta
- 最終確認
まず全体像
児発管の兼務を決めるフロー
- 児発管として必要な人数、専任・常勤要件、事業所類型を確認する
- 兼務したい職種と場所、時間帯、担当業務を具体化する
- 児発管業務の遂行と計画作成・評価の客観性を損なわないか確認する
- 直接支援の基準人員や加配へ同じ時間を二重計上しない
- 勤務表、職務分掌、個別支援計画の作成体制を添えて指定権者へ確認する

児童発達支援管理責任者(児発管)は兼務できるのか。結論からいうと、「資格があるから何役でも人数に入れられる」という扱いではありません。
通常型の放課後等デイサービスでは、児発管を1人以上配置し、そのうち1人以上は専任かつ常勤とするのが基本です。結論を先に書きます。管理者との兼務は、管理上の支障がなければ可です。児童指導員等との兼務は原則不可です。他事業所との兼務は、専任かつ常勤の1人については不可です。それぞれ根拠と条件が違います。
運営指導で見られるのは3点です。児発管業務を適切に行えること。直接支援を担う児童指導員等とは別の者を置く考え方。兼務時間を勤務実績で説明できること。「午前は児発管、午後は児童指導員」と書けば自動的に二職種分になるわけではありません。
兼務相手を3つに分ける(結論と根拠条文)
| 兼務したい役割 | 結論 | 根拠条文 | 主なリスク |
|---|---|---|---|
| 管理者 | 可(管理上、支障がない場合) | 基準省令第7条(第67条で放デイに準用) | 面談・会議・事故対応で児発管業務が後回しになる |
| 児童指導員・保育士等の直接支援 | 原則不可(例外は基準該当事業所) | 基準省令第66条第8項+解釈通知 | 同じ時間の二重計上、計画評価の客観性低下 |
| 他サービス・他事業所・法人本部 | 専任かつ常勤の1人は不可(多機能型として一体運営する場合は別枠) | 基準省令第66条第1項第2号・第8項、第80条 | 不在時間が長く、必要な連絡・会議・モニタリングができない |
根拠条文はすべて基準省令にあります。正式名は「児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準」(平成24年厚生労働省令第15号)です。
- 管理者 — 第7条は「専らその職務に従事する管理者」を置くと定めています。ただし、管理上、障害児の支援に支障がない場合は例外です。他の職務や、他の事業所・施設等の職務に従事させることができます。放課後等デイサービスは第67条でこの規定を準用します。
- 児童指導員等 — 第66条第8項は、児発管のうち1人以上を専任かつ常勤と定めています。解釈通知は、業務の客観性を担保する観点を挙げます。そのうえで、児発管と直接支援の提供を行う児童指導員等とは「異なる者でなければならない」としています。例外は基準該当事業所で、専任とする必要はなく、他の職種の従業者と兼務して差し支えないとされています。
- 他事業所 — 第66条第1項第2号で児発管を1人以上置き、第8項でそのうち1人以上は専任かつ常勤です。専任かつ常勤とされる1人を他の事業所と兼ねさせることはできません。多機能型事業所は第80条の特例で、複数サービスを1つの事業所として読み替えます。
「兼務できますか」という質問だけでは、指定権者も判断しにくくなります。誰が、どこで、何時から何時まで、何をするかに分解します。
「常勤」「専従」「専任」の意味
人員基準は、児発管のうち1人以上を専任かつ常勤と定めています。この言葉は、日常語の感覚とずれます。
常勤 — その事業所での勤務時間が、事業所で定めた「常勤の従業者が勤務すべき時間数」に達していることです。この時間数が1週間に32時間を下回る場合は、32時間を基本とします。
併設する事業所の職務で、同時並行的に行っても差し支えないものは、それぞれの勤務時間を合計して判断します。解釈通知が挙げている例は、多機能型で行う児童発達支援の保育士と、放課後等デイサービスの保育士を兼務している人です。合計が所定の時間に達していれば常勤要件を満たします。
専ら従事する(専従) — 原則として、サービス提供時間帯を通じて指定通所支援以外の職務に従事しないことです。児童発達支援と放課後等デイサービスでは、この「サービス提供時間帯」はサービスの単位ごとの提供時間を指します。常勤か非常勤かは問いません。
専任 — 人員基準の条文には出てきますが、解釈通知の「用語の定義」には置かれていません。どこまでを専任とみるかは、勤務表を添えて指定権者に確認します。
つまり「常勤」は時間数の話、「専従」は他の職務に就かないかの話です。この2つを1つの言葉として扱うと、勤務表の説明が食い違います。
管理者との兼務
人員基準は、事業所ごとに専らその職務に従事する管理者を置くと定めています。ただし、管理上、障害児の支援に支障がない場合は例外があります。同じ事業所の他の職務や、その事業所以外の事業所・施設等の職務に従事させることができます。放課後等デイサービスも、この管理者の規定を準用します。
一方、児発管には個別支援計画の作成、モニタリング、担当者会議、職員への助言、関係機関との連携などがあります。
同じ人が管理者と児発管を兼ねるなら、肩書ではなく業務量を確認します。
- 利用児童数と計画作成件数
- アセスメント、会議、モニタリングに必要な時間
- 保護者面談と学校・相談支援との連携
- 苦情、事故、虐待防止、職員管理等の管理業務
- 不在時の連絡・判断体制
計画更新月に面談が集中し、管理業務で会議が延期される状態なら、「兼務届を出している」だけでは支障がない説明になりません。
児童指導員として直接支援へ入る場合
解釈通知は、指定児童発達支援事業所の従業者は原則として専従であり、職種間の兼務は認められるものではない、と書いています。そのうえで児発管については、通所支援計画の作成や、提供した支援の客観的な評価という役割を挙げています。その業務の客観性を担保する観点から、児発管と直接支援を行う児童指導員等は異なる者でなければならないとしています。
この記述は児童発達支援の人員基準(基準第5条第8項)の解釈です。解釈通知は、放課後等デイサービスの人員基準も「同趣旨」と整理しています。なお、基準該当事業所の児発管は例外で、専任とする必要はなく、他の職種の従業者と兼務して差し支えないとされています。指定事業所には、この例外は当てはまりません。
つまり、児発管が活動へ参加すること自体と、児童指導員等の基準人員として算入することは、別の話になります。
児発管がこどもの様子を観察し、支援内容を確認することは、計画作成や職員への助言に必要です。しかし、毎日ほぼ全時間を直接支援の最低人数として固定すると、面談、計画作成、会議、モニタリングへ使う時間が失われます。児発管を常態的に最低配置へ組み込む前提は避け、別の基準人員を確保します。
「一時的な応援」と「配置上の算入」を分ける
急な欠勤や事故対応で、児発管が短時間、現場を支援することはあり得ます。だからといって、その時間を当然に基準人員や加配人員へ算入できるとは限りません。
| 状況 | 記録すること |
|---|---|
| 活動観察・支援助言 | 児発管業務としての目的と対象 |
| 急な現場応援 | 理由、開始・終了時刻、代替手配 |
| 基準人員としての勤務 | 職種要件、専従性、児発管配置との関係 |
| 加配・専門的支援への算入 | 届出区分、二重計上の有無、実績 |
勤務表で児発管の色を一日中塗り、そのうえから児童指導員の色も重ねると、実際の役割が見えません。一つの時間帯には、主として何の職務へ従事したかを残します。
他事業所・多機能型との兼務
同一建物内の多機能型や法人内の別事業所でも、「すぐ隣だから同時に勤務」とは扱いません。
確認するのは次の点です。
- それぞれのサービスで必要な児発管人数
- 利用定員と多機能型の特例の対象
- 勤務する事業所・単位・時間帯
- 専任性を満たすか
- 計画作成件数と支援会議を実行できるか
- 緊急時や不在時に誰が対応するか
保育所等訪問支援など別サービスには、それぞれ個別の兼務Q&Aがあります。別サービスで示された取扱いを、放課後等デイサービスへそのまま横滑りさせません。
兼務を説明する4点セット
指定権者へ確認するときは、口頭で肩書だけ伝えるより、次を1組にします。
- 週・月の勤務形態一覧表
- 30分単位の役割別勤務表
- 職務分掌と不在時の代行体制
- 担当児童数、計画更新月、会議・面談の予定表
「児発管業務に支障はありません」と結論だけ書かないようにします。計画作成とモニタリングへ何時間確保するか、直接支援の最低人員を別に誰が満たすかを示します。
管理者の視点
現場へ入り、職員へ助言し、保護者とも話せる児発管ほど、仕事が集まります。それでも、できることが多い人を配置表で何人にも増やさないのが先です。兼務させる前に、配置表の上で成立するかを確認します。
ここを見るのは、兼務の説明が通らなかったときに返ってくるのが実地指導での指摘や減算、返還だからです。だから兼務できるかどうかの結論より先に、勤務実績で説明できる形かを見ます。
詰まりやすいのは、届出を出した時点で片付いたと思うところです。欠勤が続いて児発管が現場へ入る日が増えても、届出はそのままです。月に一度、実際の勤務時間と届出の中身が合っているかを見る日を決めておきます。
児発管の視点
児発管の予定表は、空いた時間へ計画作成を入れる作り方をしません。面談、会議、モニタリング、記録を先に置きます。そのうえで現場観察や応援へ入ります。
ここを見るのは、計画作成とモニタリングが支援の土台だからです。この時間が後回しになると、影響が出るのは書類ではなく、次の3か月の支援内容です。
詰まりやすいのは、急な欠勤の応援です。「今日だけ」が重なると、断る理由を個人の都合として説明することになります。誰が代わりに入るかを先に決めておくと、その場で相談しやすくなります。
管理者は配置表と勤務実績を、児発管は計画とモニタリングの時間を見ています。見ているものは違いますが、行き着く先は同じ一点です。どれほど優秀でも、一人の職員が同時に満たせる配置は一つです。
関連する実務ガイド
公式資料
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準(平成24年厚生労働省令第15号)
- 児童福祉法に基づく指定通所支援の事業等の人員、設備及び運営に関する基準について(解釈通知・令和6年3月29日改正/新旧対照表)
- 障害福祉サービス等報酬改定(障害児支援)Q&A(こども家庭庁)
このページは2026年8月4日時点の公開資料で確認しています。兼務の可否は、事業所類型、利用定員、勤務実態、兼務相手によって変わります。勤務表と職務分掌を添えて指定権者へ事前確認してください。
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